ラダック滞在記


ゾルマ
 1980年のフンザ滞在の後は、インド、ラダックのアルチ村で民家の一室を借りての半年に渡る滞在となった。
 乾燥した灰色の大地に黄色の落ち葉散る秋から、インダス河に分厚い氷が張り、暖房のない私達の部屋の壁には、毎朝氷が一面を覆うー20℃の極寒の冬を経験した。そして、滞在期間の切れる春には、一挙に空路で柳が芽を吹くスリナガ−ルへまさに舞い戻った。
 これは、まだ真冬のラダックでは、カルギルの4000mを越える峠が雪でまだ閉ざされている為に、来る時は、バスで丸二日かけて来た道を、空路に頼るしかないのである。その時の気分は、酸素の少ない氷りの水槽から酸素がたっぷりある適温の水槽へ戻された魚のような気分だった。あるいは、別世界から自分の本来の世界へ戻ったと言うべきか。
 20年以上ひと昔前のラダックですが、どうぞご覧下さい。

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